独自動車大手のダイムラーとBMWが自動運転を中心とする包括的な提携について協議しているもようだ。大規模な投資が必要な自動運転での協力により、開発コストの負担を軽減するとともに、開発を加速し業界標準の確立を目指す意向という。21日発行の独経済紙『ハンデルスブラット』が報じた。両社とも同紙の取材に対し、協議についてはコメントを控えたが、原則として協力にはオープンであるとの姿勢を示している。
同紙によると、BMWのハラルド・クリューガー社長とダイムラーの次期社長に就任する予定のオラ・ケレニウス取締役(ダイムラーグループの研究担当およびメルセデスベンツ・カーズの開発責任者)が包括的な提携について協議しているという。自動運転の開発では、製品開発で協力するほか、特許の相互公開などが検討されているもよう。ただ、協議はまだ初期の段階にあるという。
自動運転の分野では、BMWはすでに、米半導体のインテルおよびインテル傘下のモービルアイを中心とするコンソーシアムを結成している。ダイムラーも独自動車部品大手のボッシュと協力関係にある。ただ、両社とも、自動運転の開発に取り組む米ウーバーやグーグルを傘下に持つ米アルファベットの子会社ウェイモに対抗し、自動運転をめぐる膨大な開発事業やコストに対応するためには、さらに提携を拡大する必要があるとの考えがあるもよう。
同紙によると、BMWとダイムラーは、自動運転以外では、米国政府の貿易規制に対応するための同国における共同調達や電池セルの調達での協力、コンパクトカー(BMW「1シリーズ」、メルセデスベンツ「Aクラス」)のプラットフォームの共通化などが議題となっているもよう。なお、コンパクトカーに関しては、両社とも新モデルを市場投入したばかりのため、開発や調達での協力は2025年以降になると見られている。
BMWとダイムラーはこれまでにも、協力の実績があり、BMW、ダイムラー、アウディの3社でオランダのデジタル地図大手ヒア(HERE)を共同買収している。また、2018年にはカーシェアリングサービスなど、BMWとダイムラーのモビリティサービス事業を統合する新たな合弁会社を設立すると発表した。