欧州委員会は1日、米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への対抗措置として、2日付で鉄鋼製品に対する緊急輸入制限(セーフガード)を正式発動すると発表した。2021年6月末までの間、鉄鋼関連の26品を対象に、一定の割当枠を超えた場合に25%の関税を課す。同措置は米市場から締め出された鉄鋼製品が大量に欧州連合(EU)市場に流入し、域内の企業に損害を与える事態を防ぐ狙いがある。
EUはトランプ政権が国家安全保障を理由に鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税の賦課を決定したことを受け、昨年3月に鉄鋼製品のセーフガード調査を開始した。米国が6月に追加関税の発動に踏み切ったため、EU側も7月から鉄鋼の輸入制限を暫定的に発動。その後、セーフガード調査の結果を踏まえて正式に輸入制限の発動を決定し、1月4日付で世界貿易機関(WTO)に通報していた。
正式発動されるセーフガード措置はこれまでの暫定措置と同様、鉄鋼関連の26品目を対象に、2015~17年の輸入実績の平均に5%上乗せした水準を関税割当枠(クオータ)に設定し、超過した時点から25%の関税を課すという内容。原則として全世界からの輸入が対象となるが、欧州経済領域(EEA)とEU向けの輸出が少ない開発途上国からの輸入については適用を除外する。