欧州連合(EU)加盟国の閣僚理事会、欧州議会、執行機関の欧州委員会はこのほど、2030年を達成期限とする大型商用車(トラック、バス)の二酸化炭素(CO2)排出量の削減規制案について合意した。EU域内で販売される新車を対象に2019年比で30%削減することを目指す。また、2025年までの中間目標として2019年比で15%の削減を設定した。同規制案は、欧州議会と閣僚理事会の承認を経て正式に発効する。
欧州議会によると、大型商用車は、EUの道路輸送におけるCO2排出量の27%、また、EUの温室効果ガス排出量の約5%を占めている(2016年データ)。また、主に道路貨物輸送量の増加により、1990年以降、大型商用車のCO2 排出量は25%増加している。このため、今後新たな政策がなければ、大型商用車のCO2排出量はさらに増えると予想されている。
独自動車工業会(VDA)のベルンハルト・マテス会長は今回の合意について、充電インフラや水素など代替燃料の供給インフラの不足を指摘するほか、大型商用車の顧客は経済性を重視するため、すでに低燃費となっていると述べ、商用車業界の技術的・経済的な現状を考慮していない、と批判している。