シーメンス―「EU競争法は時代遅れ」=社長―

独電機大手シーメンス(ミュンヘン)のジョー・ケーザー社長は1月30日の株主総会で、欧州連合(EU)の競争法は現在の市場環境に見合わない時代遅れの規制になっているとの見方を示した。同社と仏アルストムの鉄道事業の統合計画に対し認可当局の欧州委員会が否定的な立場を崩さないことを受けた発言。両社は計画への承認を得るために欧州委に譲歩してきたものの、承認されない可能性が高まっている。同社長は欧州委が合併を認めないのであれば、それを受け入れ、これまで通りシーメンス単独で鉄道事業を展開していくと述べ、承認を得るためにあらゆる犠牲を払う考えはないことを明確に示した。

欧州委が厳しい立場を保っていることについては、EU競争法に基づいて判断すると両社の合併計画が認められる余地は小さいと指摘し、同委の姿勢に法律上の問題はないとの認識を示した。

それにもかかわらずシーメンスとアルストムが合併を目指すのは、中国国営2社の合併で誕生した中国中車(CRRC)が圧倒的なシェアを持つため、グローバル市場で対抗するためには欧州大手2社の統合が不可欠とみているためだ。ケーザー社長は「国家主導の企業が世界市場に打って出ようとしているのであれば、これ(シーメンスとアルストムの合併計画)は唯一の正しい回答だ」と明言した。

この立場は株主からも支持されており、資産運用子会社DWSのファンドマネージャーは株主総会で、「(欧州委は)今後20年間の世界的な競争で欧州のこの産業部門(鉄道技術)がさらされる危険を見誤っている」と述べた。

シーメンスが同日発表した2018年10-12月期(第1四半期)決算の産業部門の営業利益(EBITDA、調整済み)は前年同期比6%減の20億6,800万ユーロへと落ち込んだ。火力発電設備とエネルギー管理技術部門の不振が響いた格好。同売上高は2%増の202億7,100万ユーロで、売上高営業利益率は前年同期の11.1%から10.2%へと落ち込んだ。

同社全体の税引き後利益は49%減の11億1,800万ユーロと大幅に下落した。比較対象の17年10-12月期は旧子会社である照明大手オスラムの保有株売却と、米国の法人税率引き下げに伴う繰延税金負債の評価替えで水準が押し上げられていたことから、その反動が出た格好だ。

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