欧州連合(EU)の欧州委員会は1月31日、ユーロ圏各国の国債取引でトレーダーらが共謀し、EU競争法に違反した疑いがあるとして、計8銀行に異議告知書を送付したと発表した。対象となった銀行の具体名は公表していないが、欧米メディアではドイツ銀行、クレディ・スイス、バンクオブアメリカ・メリルリンチなどの関与が取り沙汰されている。
欧州委によると、8行は2007~12年にユーロ圏の政府が発行した国債の取引をめぐってカルテルを結び、市場を操作した疑いが持たれている。各行のトレーダーらは主にチャットルームなどで国債取引に関連した機密情報を交換し、公正な競争を阻害したとみられている。
異議告知書の送付は競争法違反に対する是正手続きの第1段階。欧州委が最終的に違法と認定した場合、各行は世界全体の売上高の最大10%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。
欧州委は今回の事案とは別に、ドイツ銀行やクレディ・スイスなどが米ドル建てのソブリン債などの取引でカルテルを結び、市場を操作していた疑いがあるとして、昨年12月に4行に対して異議告知書を送付している。