BMWのディーゼル車に違法なソフトウエアが搭載されていた疑いで捜査を進めてきた独ミュンヘン検察当局は25日、同社に過料支払いを命令したと発表した。排ガス値を意図的に操作したという当初の容疑は裏付けられなかったものの、ソフトの誤ったインストールを防止できなったことは監督責任義務に違反するとして過失を認定。850万ユーロの支払いを命じた。BMWは同命令を受け入れており、命令は確定した。
BMWは昨年2月、SUV「X5」と「X6」向けに開発したソフトを誤って「5シリーズ」と「7シリーズ」のモデルに搭載していたことが分かったとしてリコールを発表した。別のモデル向けのソフトであるため排ガス浄化機能が適切に働かないことが理由だと説明した。
ミュンヘン検察はこれについて、過失でなく意図的な不正の可能性があるとみて、捜査を開始。3月には本社と研究開発センター、および墺シュタイルにあるディーゼルエンジン工場を対象に立ち入り捜査を実施した。
ミュンヘン検察は今回のプレスリリースで、排ガス浄化装置が台上試験でのみ適正に働き実際の走行では働かない違法な装置は確認されなかったことを指摘。また、従業員が不適切なソフトを故意にインストールした事実もなかったとして、詐欺容疑は裏付けられなかったとの捜査結果を明らかにした。
独検察当局は排ガス不正問題に絡んで、BMWの競合フォルクスワーゲン(VW)とVW子会社のアウディに対し昨年、それぞれ10億ユーロ、8億ユーロの巨額過料支払いを命じた。BMWの過料の額がこれら2社に比べて小さかったのは、不適切なソフト搭載車の数が世界で最大7,965台と比較的少なかったため。VWでは違法ソフト搭載車が1,070万台と極めて多かったことから、ドイツ史上最大の過料が科された。