フォルクスワーゲン―28年までのEV投入を70種類に拡大―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループ(ヴォルフスブルク)は12日、2028年までに市場投入する電気自動車(EV)を従来計画の50種類から約70種類へと拡大すると発表した。二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量を同量とする「カーボンニュートラル」を50年までに達成するという目標を踏まえた措置。ヘルベルト・ディース社長は産業革命前からの世界の平均気温上昇幅を2度未満に抑えることなどを取り決めたパリ協定を踏まえ、個々人が乗用車で自由に移動できるという利便性を失うことなしに温暖化防止に貢献する意向を強調した。

EVの車種拡大に伴い、次世代電気自動車(EV)向けシャシー「MEB」の採用車は従来計画の1,500万台から2,200万台へと大きく増えることになる。

カーボンニュートラルは製品から生産、事務までと同社の事業の全領域で実現する。製品(車両)に関しては部品の調達から製造、輸送、消費後の廃棄に至るまでの過程で発生するCO2の量(カーボンフットプリント)を25年までに15年比で30%削減する意向だ。サプライヤーに関しては特に鉄鋼、アルミニウム分野で削減の余地が大きいとみている。

グループブランドの車両が排出するCO2の総量の引き下げに向けては、23年までに300億ユーロ以上を投資して、電動車の種類を拡大。全車両に占めるEVの割合を30年までに最低でも40%へと引き上げる。

EVに用いる電池の確保も重視しており、同社はLG化学、SKI、CATL、サムスンの中韓4社を電池セルの戦略サプライヤーに選定した。欧州企業がコンソーシアムを結成して電池セルの欧州生産に乗り出す場合は、VWが参加することも検討する。また、次世代電池の本命と目される全固体電池の量産に向けた開発を米国のスタートアップ企業クアンタムスケープと共同で進める。

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