米格付け大手のスタンダード&プアーズ・グローバル・レーティングス(S&P)は15日、ハンガリーの信用格付けを「BBBマイナス」から「BBB」へ1段階引き上げた。見通しは「安定的」。安定成長が続くとの予想に立ち、引き上げを決めた。
S&Pは、実質賃金の上昇などで内需が伸びる見通しであることや、自動車・サービス業界で輸出市場を射程に入れた投資が続いていることなどから、ハンガリーの安定成長が続くと予想する。外需縮小や欧州連合(EU)からの助成減額で2021年までに成長率が2%まで鈍化するが、減速局面を乗り越えられると分析している。
プラス評価につながった点としては、◇輸出型経済の堅固さ◇民間債務が小さい◇柔軟な為替制度――などを挙げた。マイナス評価としては、◇国の権力分立が不十分(抑制と均衡がうまく働いていない)◇所得水準が比較的低い◇公的債務の大きさ――などを挙げている。
ハンガリーの対外債務(対国内総生産(GDP)比)は2010年の55%から18年には10%まで低下した。今後は内需拡大で経常収支がGDP比1%前後まで縮小する見通しだ。
ハンガリー金融業界は豊富な資金力を背景に着実に利益をあげている。新規融資にも積極的で、金融政策の効果が実体経済へ波及する仕組みがおおむね回復しているとみてよい。