スロバキアで16日に実施された大統領選挙で、反汚職を掲げる人権派女性弁護士のズザナ・チャプトヴァ氏(45)が40.6%を得票して首位に立った。昨年2月のジャーナリスト殺害事件が影を落とす中、政治腐敗に抗議する有権者の支持を集めた。2位は中道左派の与党「スメル(道標)」が推薦する欧州連合(EU)欧州委員会副委員長マロシュ・シェフチョビッチ氏(52、得票率18.7%)。親EUの両候補による決選投票は30日に行われる。
大統領選には4人が立候補した。選挙管理委員会の発表によると、その他の候補の得票率は3位の右派ポピュリスト、ステファン・ハラビン氏(61)が14.4%、4位の極右政党「人民党・我らスロバキア」党首マリアン・コトレバ氏(41)が10.4%だった。スロバキアの大統領は儀礼的な役割が強いが、政権交代に際して新閣僚の承認を拒否できるなど一定の影響力を持つ。
チャプトヴァ氏は新興政党「進歩スロバキア」の副党首。投票結果を受けて同氏は、有権者の「変革を求める声」が後押ししたと述べた。同国では昨年2月、政界とイタリアのマフィアとの癒着を調査していたヤン・クチアク記者(27)とその婚約者が自宅で射殺される事件が起きた。公開された同記者の遺稿は汚職やコネ人事に対する大規模な抗議デモを巻き起こし、当時のフィツォ内閣の退陣につながった。
チャプトヴァ氏は長年にわたり反汚職運動に携わってきたほか、環境保護の促進や中絶擁護、同性カップルの権利擁護などリベラル色が強い。一方のシェフチョビッチ氏は元共産党員で、2009年から欧州委員を務めている。