Carl und Carla

商用バンに特化したカーシェアリングを事業とするドイツの新興企業。ドレスデン工科大学の学生5人が2013年5月に共同出資で設立した。現在は、フォルクスワーゲン(VW)の商用バン「T6」を使用してドイツの11都市で事業を展開している。中期的に、人口が約20万人以上のドイツの40都市すべてにサービスを拡大する計画。

同社は、シートがなく引っ越しなどに適した「カール」と、9シートで小グループの旅行や送迎などに適している「カーラ」の2種類を提供している。ドアを開錠する制御装置としてマイクロコントローラーを独自に開発し、車内に鍵を保管したままでドアを開錠できるシステムを採用している。

同社の設立は、創業者の1人であるバスティアン・ティーレ氏がドレスデン工科大学に在学中の2011年に祖父母からVWのマイクロバス「ブリー(T4)」を相続したことが始まり。引っ越しなどの用途に同車両を貸し出していたが、鍵の受け渡しに手間がかかるため、GPSモジュール付きの小型制御装置を開発し、鍵を車内に保管した状態で、外部からドアを開錠できるシステムを開発した。

当初はT4を買い増していたが、現在はVW「T6」を使用しており、2015年にはフランチャイズ化した。

2017年3月には独ハノーバーで開催された国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」で開催されたVWによるピッチイベント(投資家向けのプレゼンイベント)に参加し、VWの新興企業支援プログラム「フューチャー・モビリティ・インキュベーター」への参加が認められた。同プログラムを通して、法人向けのカーシェアリングサービスを開発し、昨年から4拠点で同事業モデルを試験提供している。

■ 事業拡大、200台を追加投入

同社はこのほど、既存の「T6」230台に加え、新たに200台を調達し、保有車両を計430台に拡大した。200台の調達費は約700万ユーロ。最初の20台はハノーバーなどの4都市に配置しており、2019年7月には全車両の導入が完了する予定。

2019年夏には電動商用バンを初めて導入する予定。VWと共同で、既存の事業モデルに導入できるかを試験する。

現在は創業メンバーのうち4人が残っており、フルタイムの従業員3人と多数のパートタイムの従業員を抱えている。

    

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