欧州委員会は10日、スウェーデンの通信大手テリアが同国のメディア大手ボニエのテレビ部門ボニエ・ブロードキャスティングを買収する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。両社の取引を認めた場合、スウェーデンとフィンランドで健全な競争が損なわれる恐れがあると判断した。計画が実現した場合の欧州通信・メディア市場への影響を詳細に分析し、9月19日までに買収の可否を判断する。
テリアは2018年7月、ボニエ・ブロードキャスティングを92億クローナ(約1,050億円)で買収することで合意した。ボニエはスウェーデンの民放テレビ最大手TV4、ストリーミングサービスなどを展開するC More、フィンランドの民放テレビMTVなどを運営している。
欧州委は初期調査の結果、買収計画を認めた場合、スウェーデンとフィンランドでテリアの市場支配力が強まり、ライバルがボニエからテレビ番組を買い付けることができなくなったり、テレビ広告市場でも競争が歪められる恐れがあると分析。結果的に消費者の選択肢が狭められ、値上げにつながる可能性もあると判断した。
欧州委によると、テリアは買収認可を得るため、4月に改善策を提示したが、同委は「対応が不十分」として本格調査に踏み切った。改善策の具体的な内容は明らかにされていない。