独VW、小型EVをスロバキアで生産

独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が、電気自動車(EV)専用車台「MEB」を使ったエントリーモデルをスロバキアで生産するもようだ。従来予定していた独エムデン工場では採算がとれないと判断した。エムデンでは代わりに電動小型SUV(スポーツタイプ多目的車)を生産する。

独経済紙『ハンデルスブラット』(オンライン版)がVW関係者の情報として16日伝えたところによると、エムデンでエントリーモデル「ネオ(Neo)」(仮称)を手がけた場合、労働コストが高く、EV普及のカギとされる「2万ユーロを切る価格設定」が実現できないことが判明した。このため、すでにVW「アップ(Up)」など小型車を出荷しているスロバキアのブラチスラバ工場に生産地を変更することにした。報道の真偽についてVWは「生産計画及び各モデルの生産地については年末に決定する」としてコメントを避けている。

欧州排ガス規制が今後、さらに厳格化されると、小型のエンジン仕様車の価格が上昇するのは確実で、ブラチスラバの小型車生産も縮小すると予想される。2023年発売予定の「ネオ」はその穴を埋める役割も期待されている。

エムデン工場では代わりに、独ツヴィッカウ工場での生産を計画していたクロスオーバーSUV「IDクロス」を生産する。事業所委員会(労組代表)によると、2023年から15万台を出荷する計画だ。同工場では労使間合意で年30万台を生産することとなっており、「IDクロス」のほか電動「パサート」(約10万台)と他のモデル(5万台)が製造モデルに加わる見通し。

ツヴィッカウ工場では今年11月から「ゴルフ」クラスの「ID3」(コードネーム)を生産する。VWはEV事業計画で予定販売台数を引き上げており、ツヴィッカウ工場の稼働率は「ID3」で十分確保できると判断したもようだ。

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