伊電力最大手エネルの独子会社エネル・グリーンパワー・ドイッチェラント(EGPドイッチェラント)、独風力発電大手のエナトラーク、スイスの電池メーカー、ルクランシェの3社によるプロジェクトコンソーシアムは5月16日、ドイツ北東部ブランデンブルグ州のクレムツォフ(Cremzow)に建設した22メガワット(MW)の電力貯蔵システムの操業を開始した。同システムへの投資は約1,700万ユーロ。当該システムは、発電出力(一次周波数制御予備力)をリアルタイムで供給し、電力網における周波数の安定化をサポートする。
同システムでは、電力需要が高まり、電力網の周波数が低下すると、30秒以内に電力を供給する。また、電力需要が低下し、周波数が高まると、電力を蓄電して周波数を安定させる。さらに、エナトラークの風力発電と電力貯蔵システムを連携し、風力発電の余剰電力を蓄電する。風力発電では、発電量が大きくなりすぎると電力網が不安定化するため、発電量を抑える必要があるが、今回のプロジェクトでは、電力貯蔵システムとの連携により、風力発電量の抑制をどのくらい削減することができるかを調査する。
当該プロジェクトでは、プロジェクトを実施するために特別目的事業体を設立した。EGPドイッチェラントが過半数の90%を出資しており、残りの10%はエナトラークが保有している。ルクランシェはサプライヤーとしてバッテリーやバッテリー制御ソフトウエアを供給するほか、プラント設計や設備調達・建設(EPC)などインテグレーターの役割も担う。