三海洋イニシアチブ投資基金開設、大型プロジェクトの実現に向け

中東欧の欧州連合(EU)加盟国が参加する三海洋イニシアチブ(3SI)のプロジェクト実施に向けて、ポーランド開発銀行(BGK)とルーマニア輸出入銀行が6日にブリュッセルで、3SI投資基金を開設した。4、5の両日にスロベニア・リュブリャナで開かれた首脳会議で予告したもので、中東欧における大型プロジェクトの実現を支えるものとして注目される。

3SIは2015年にクロアチアのグラバルキタロヴィッチ大統領とポーランドのドゥダ大統領の主導で結成された。中東欧のEU諸国の非公式な集合体で、政治・経済協力、エネルギー政策における提携強化、国境を超えたデジタル通信・エネルギー・運輸インフラの整備を目的とする。ブルガリア、エストニア、クロアチア、ラトビア、リトアニア、オーストリア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、チェコ、ハンガリーの12カ国が参加している。

3SIの主な運輸プロジェクトとしては、(1)リトアニア・クライペダとギリシャ・テッサロニキを結ぶ高速道路「ヴィア・カルパチア」の整備(2)バルト海諸国の鉄道を汎欧州輸送ネットワーク(TEN-T)に接続する「レール・バルティカ」計画――がある。これまで東西ルートの建設が重視されてきたが、3SIでは南北ルートの整備に重点を置く。(1)の費用はハンガリー区間で11億ユーロ、リトアニア区間で5億200万ユーロとされる。(2)の投資額は推定58億ユーロに上る。

エネルギー部門では、エネルギー調達先の多様化が目標だ。具体的には、ロシアからの天然ガス輸入を減らし、液化天然ガス(LNG)の受入能力を拡大する。クロアチアとポーランドはその一環として、LNG基地の整備拡大に取り組んでいる。

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