英与党党首選、第1回投票はジョンソン氏が1位

EU離脱をめぐって揺れる英国で、次期首相を選ぶ与党・保守党の党首選が始まった。13日に行われた第1回の投票では、最有力候補で強硬離脱派のジョンソン前外相が圧倒的な得票で1位となり、決選投票進出に向けて勢いがついた。10人の候補のうちジョンソン氏を含む6人が2回目の投票に進む。

党首選は保守党に所属する下院議員313人の投票を繰り返して候補を2人に絞り込み、10万人を超える党員による決選投票で新党首が決まる仕組みだ。

1回目の投票ではジョンソン氏が予想を超える114票を集めてトップに立った。2位はEUとの合意に基づく穏健な離脱を主張するハント外相(43票)。3位は同じく穏健離脱派のゴーブ環境相(37票)だった。以下、ラーブ前EU離脱担当相(27票)、ジャビド内相(23票)、ハンコック保健相(20票)、スチュワート国際開発相(19票)の順で続く。レッドソム前下院院内総務、ハーパー元院内幹事長、マクベイ前雇用・年金相の3人は得票が規定に足りず、この時点で姿を消した。さらにハンコック保健相が14日、党首選から撤退する意向を表明した。

2回目の投票は18日、3回目は19日、4回目は20日に行われることになっている。最後まで残った2人が決戦投票に臨み、7月22日の週に新党首が決まる。7月中にメイ首相が退任し、新首相が就任する。

ジョンソン氏は2016年に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票に際して、離脱派のリーダー格として活動した人物。EUと合意した離脱案の英議会での承認を取り付けることができず、離脱期限を3月29日から10月末まで延期することを迫られ、政権運営に行き詰まって辞任を表明したメイ首相の後任を選ぶ党首選では、EUが離脱案見直しに応じなければ、離脱期限を延長することなく10月31日に離脱する「合意なき離脱」も辞さないと明言し、党内の強硬離脱派の支持を集めている。

2回目の投票に進む6人では、ラーブ氏とジャビド氏がジョンソン氏と同じく「合意なき離脱」も辞さないという立場。穏健離脱派ではハント氏とゴーブ氏が10月末の「合意なき離脱」を避けるべきと主張している。EUと粘り強く交渉し、離脱期限を再び延長してでも英議会が納得できる離脱案をまとめるという戦略を描く。スチュワート氏は、いかなる状況になっても「合意なき離脱」は避けるという完全穏健離脱派だ。

6人のうちジョンソン氏など強硬離脱派は1回目の投票で計164票を集めた。穏健離脱派は2、3位に食い込んだものの、合わせて119票。落選した3人の計30票を取り込んだとしても、強硬離脱派に及ばない。

今後の投票では穏健離脱派が結集する必要があるが、同派の中には次期総選挙をにらみ、保守党が第1党となるにはジョンソン氏が党の顔になる必要があるとして、1回目に同氏に票を投じた議員もいるもよう。ジョンソン氏優位の中、穏健離脱派がどれだけ巻き返せるかが注目される。

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