N26―時価総額で欧州フィンテック1位に―

モバイルバンキングサービスを手がける独新興企業N26(ベルリン)は18日、事業の拡大に向けて既存の出資者から新たに1億7,000万ドル(1億5,200万ユーロ)を調達したと発表した。資金調達では同社を35億ドル(31億ユーロ)と評価しおり、N26は時価総額でクラーナ(スウェーデン)、トランスファーワイズ(英)に並ぶ欧州トップのフィンテックとなった。事業の国際化を積極的に推し進めていることが評価されており、時価総額は1月時点の27億ドル(23億ユーロ)から15%拡大した。

同社は1月の資金調達(シリーズD)で3億ドルを獲得した。今回の資金調達はシリーズDを拡張する形で実施したもので、米投資大手インサイトパートナーズやシンガポール国営ファンドGIC、中国IT大手騰訊(テンセント)、アリアンツXなどから追加資金を確保した。これまでに投資家から調達した資金の総額は6億7,000万ドルを超える。

N26は欧州24カ国で事業を展開。11日には米国で顧客サービスを開始した。全世界で顧客5,000万人を獲得するという目標を掲げており、今後はブラジル市場に進出する意向だ。

同社は2013年設立のフィンテックで、15年1月に振替口座サービスを開始した。顧客はスマホアプリの操作だけで同社に振替口座を開設できる。口座管理手数料や引き出し料金が一切かからないことから、顧客数が急増。6月には顧客が350万人に達し、前年同月の3.5倍に拡大した。

ただ、これらのサービスは売り上げと利益を生み出さないことから、N26は有料のプレミアム会員向けサービスを展開している。マクシミリアン・タイエンタール共同社長が経済紙『ハンデルスブラット』に明らかにしたところによると、同サービスの利用者は国によって20~30%に上る。プレミアム会員の拡大が長期的な会社存続のカギを握ることから、同社は同サービスの拡充を図っている。最近はサブ口座を開いて最大10人が共同利用できる「シェアード・スペーシズ」という新サービスを開始した。シェアハウスの費用管理や友人との旅行資金の積み立てなどに便利だとして売り込んでいる。

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