国際通貨基金(IMF)の張涛副専務理事はクロアチアのドブロブニクで15日に行った講演で、中東欧諸国では2050年までに労働力の25%が失われるとの見通しを示した。高齢化と移民による人口流出を理由に挙げている。
同専務理事によると、トルコを除く同地域では2050年までに12%人口が減少する。今後30年間の労働力人口の減少幅は25%減とさらに大きくなる見通しだ。労働供給の減少と高齢化による生産性の低下、さらには政府の財政負担の増加により国内総生産(GDP)が年率1%押し下げられるとしている。
また人口減を想定しない場合には2050年の1人当たりGDPは西欧諸国の74%に達する一方、人口が減少する場合には60%にとどまるとの予想を示した。
同専務理事は対策として、女性と高齢者の就業促進と退職年齢の引き上げを挙げた。しかしIMFの推計ではそうした措置だけでは不十分だと見られることから、人的資源への投資や福祉及びガバナンスの向上、インフラの改善、規制の近代化を図るべきだとの見方を示した。