化石燃料関連事業への新規融資、EIBが20年末までに停止

欧州投資銀行(EIB)は7月26日、2020年末までに化石燃料に関連したプロジェクトへの新規融資を停止する方針を発表した。石炭や石油など化石燃料に依存する事業を融資対象から外すことでエネルギー転換を促し、温室効果ガスの削減を加速させるのが狙い。9月に欧州連合(EU)加盟国の財務相などで構成する理事会を開き、正式決定する。

EIBは政策文書で、熱波や集中豪雨などの異常気象による災害が頻発するなか、EUの温暖化対策を後押しするため、再生可能エネルギーに関連したプロジェクトへの支援を増やす必要があると指摘。石油・ガス生産、天然ガスパイプラインをはじめとするインフラ整備、火力発電などへの融資を段階的に減らし、21年以降は全面的に停止する方針を示している。

理事会では化石燃料への依存度が高いポーランドをはじめとする東欧諸国や、アドリア海経由でアゼルバイジャン産の天然ガスを運ぶ「トランスアドリア・パイプライン(TAP)」事業で融資を受けているイタリアなどが反発する可能性がある。EIBはこうした状況を踏まえ、EU全体で再生可能エネルギーへの移行を促すため、エネルギー転換が困難な国や地域に対する支援策を用意すると説明している。

EIBは18年に融資総額のおよそ30%にあたる約162億ユーロを気候変動関連のプロジェクトに投じた。一方、化石燃料に関連した事業への融資額は全体の5%未満と説明している。

次期欧州委員長に選出されたフォンデアライエン独国防相は欧州議会での演説で、2050年までに欧州を二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル大陸」にするとの目標を掲げたうえで、EIBを気候変動対策銀行(Climate

Bank)と位置づけ、今後10年間に1兆ユーロをクリーンエネルギーに投じる意向を表明した。

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