セルビアがリチウム埋蔵国として秘かに注目されている。欧州最大規模と推測する声もあり、英豪系資源大手リオ・ティントと豪ヤダル・リチウムが調査中だ。セルビアの鉱床が商業化できれば、欧州はリチウム生産・リチウム電池製造で中国などアジア勢の競争相手になりうるとみられている。
ブルームバーグ通信によると、セルビア政府による推定埋蔵量は200万トン。米国地質調査所(USGS)は確認埋蔵量100万トンとしている。いずれにしても、欧州最大級であることは間違いない。
リオ・ティントは2004年に西部マチヴァ地方のヤダル渓谷でホウ酸リチウムの大規模鉱床を発見した。事業化調査を実施中で、来年末にプロジェクトを実施するかどうか決定する予定だ。ヤダル・リチウムも調査中だが、具体的な調査地など、コメントを避けている。
採鉱開始が早くても3年後になるにもかかわらず、セルビア当局はすでに精製やバッテリー生産といった下流産業の育成を提唱する。高失業率に起因する若年人口の流出に歯止めをかける効果も期待されるところだ。
リチウムはスマートフォンや電動自動車(EV)の動力源であるバッテリー材料として需要の急増が見込まれている。USGSによれば、昨年の世界生産量は25%拡大した。
ただ、過剰供給の懸念や中国の景気減速などが、リチウム鉱山の採算性に影を落としているのも事実で、セルビアでの商業化が実現するかどうかはまだ不透明だ。