拡張が計画されているチェコ中南部のドゥコバニ原発の環境影響評価が先ごろ発表され、環境への影響には問題がないとの評価がなされた。同計画は原子炉を1基ないしは2基新たに設置するもので、ソ連時代の旧型炉4基を置き換えることを目的としている。しかし同原発に隣接するオーストリアの政府や市民からは反発する声が出ている。
今回の環境影響評価は拡張工事開始に向けた最終決定ではなく、今後さらに手続きを進めるための要件とされているもの。調査にはチェコの近隣諸国も参加している。チェコ環境省はオーストリアなどの隣国からのものを含め1万6,000のコメントが寄せられたと述べた。
ウィーン北方100キロメートルにある同原発には現在4つの原子炉がある。これらの原子炉はロシアで設計された加圧水型で、1985年から1987年にかけて稼働を開始した。現在同国の電力消費量の5分の1を賄っている。
計画されている原子炉はこの4つの原子炉を代替するもので、政府は今年末までに国営電力会社CEZと契約を結ぶ方針だ。来年にも拡張工事に関する入札手続きの開始が予定されている。
こうしたチェコの動きに対しオーストリアの政府や市民は反対する姿勢を崩していない。今回の環境影響評価には多くのオーストリア市民がコメントを寄せた。一部には環境影響評価のやり直しと新原子炉にかかる費用の公表を求める声があるほか、地元関係者は冷却水に使われるイーラバ川の水量不足の問題を指摘している。