勤務を行う被用者には休憩時間が与えられなければならない。これは労働時間法(ArbZG)4条に記された決まりであり、勤務時間が6~9時間の場合は最低30分、9時間超の場合は同45分となっている。では、休憩時間中の被用者に業務連絡がつく状態にあることを義務づけることは認められるのだろうか。この問題を巡る係争でメクレンブルク・フォーポマーン州労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:2
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11/18)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は連邦警察に勤務する警察官が国を相手取って起こしたもの。同警察官はポーランド国境で巡回業務に従事している。
巡回業務では班長がその時その時の状況を踏まえて休憩時間を決めていた。また、休憩時間中は携帯電話などで常に連絡がつく状態にあることが義務づけられており、休憩中に呼び戻されることも多かった。
原告はこうした休憩の実態は心身をともに休めるという、法律で定めた休憩本来の目的に合致しておらず、休憩とは言えないと判断。これまで休憩時間として過ごした計117時間を労働時間口座の貯金として取り扱うことを求めて提訴した。
原告は一審と、二審のメクレンブルク・フォーポマーン州労裁でともに全面勝訴した。判決理由で二審の裁判官は、ArbZGに定める労働時間の要件として最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が過去の判決で示した(1)休憩時間はあらかじめ決まっていなければならない(2)30分ないし45分という法律で定められた最低基準を下回ってはならない(3)心身をともに休めることを目的とする(4)休憩時間中は仕事を行わないだけでなく、勤務待機の状態にあってもならない――の4点を指摘。原告の職場の休憩時間はこの4要件をすべて満たしていないとの判断を示した。
BAGへの上告は認めなかった。