フォータム―独ユニパー買収へ―

フィンランドのエネルギー大手フォータム(エスポー)は8日、独同業ユニパーの株式20.5%強を投資会社エリオット、ナイト・フィンケの2社から譲り受けることで合意したと発表した。米露当局が承認するとフォータムは出資比率を50%から70.5%強へと拡大し、ユニパーを子会社化する。来年3月末までに買収手続きが完了すると見込んでいる。

ユニパーはエネルギー大手の独エーオンが2016年1月に分離して設立した火力・水力発電会社。エーオンは同年9月に、ユニパーの新規株式公開(IPO)を実施し、出資比率を100%から46.65%へと引き下げた。

フォータムは17年秋から18年2月にかけて、ユニパーに対する株式公開買い付け(TOB)を実施した。エーオンはこれに応じることを事前に確約しており、フォータムは同TOBでユニパー株47.12%を確保した。その後、出資比率を50%まで引き上げていた。

今回の取引でユニパーを子会社化すると、フォータムはドイツなど大陸欧州市場に参入。事業を大幅に拡大することになる。

ユニパーの経営陣と従業員はフォータムの買収に反対してきた。フォータムがユニパーを解体すると警戒しているためだ。フォータムはこれを踏まえ、◇少なくとも買収後2年間は支配・利益移転契約を結ばない◇既存の労使・社内協定を遵守する◇経営上の理由による整理解雇は行わない◇ユニパーの本社をデュッセルドルフから移転しない――意向を表明した。

フォータムはエリオットとナイト・フィンケからユニパー株を1株当たり29.93ユーロで取得する。総額は23億ユーロで、ユニパー買収に投じる資金はこれで62億ユーロに拡大することになる。

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