加盟国がユーロ圏共通予算の21年導入で合意、投資と改革支援に170億ユーロ

EUは10日にルクセンブルクで開いた財務相理事会で、ユーロ圏共通予算の導入で合意した。ユーロ圏19カ国に配分される共通予算の規模は2021年からの7年間で約170億ユーロ。予算の規模や財源をめぐり加盟国間で意見に隔たりがあり、調整は難航したが、約2年にわたる議論がようやく収束した。

ユーロ圏共通予算の創設はマクロン仏大統領が提唱したもので、英国の離脱でEUの結束が揺らぐなか、ユーロ圏の統合深化に向けた機構改革案の柱として導入に向けた協議が続いていた。ユーロ導入国の競争力強化や経済格差是正を目的に、EU予算の一部として創設する構想だが、財政規律を守る豊かな国が放漫財政の国の尻ぬぐいをさせられるといった批判が根強く、調整が難航していた。

「収束と競争力のための予算措置(Budgetary

Instrument

for

Convergence

and

Competitiveness=BICC)」と名付けられたユーロ圏共通予算は、21年~27年のEU中期予算から拠出される。予算の使い道は圏内の格差是正や競争力強化に向けた投資と構造改革の支援に限定される。フランスが提唱していた経済安定化の手段として活用する案は、オランダなどの反対で否決された。ただし、加盟国の合意があれば将来的に予算規模を拡大することが可能で、21年までに具体的な条件などを決める。

加盟国は共通予算の運用にあたり、全体の80%を人口と1人当たりの国内総生産(GDP)に基づいてユーロ圏19カ国に配分し、残り20%は各国が直面する課題に対処するため、「特に野心的な」投資計画や構造改革の支援に充てることで合意した。ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のセンテノ議長(ポルトガル財務相)によると、ユーロ導入国には拠出金の少なくとも70%が再配分される見通しだ。

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