EUは17、18日に開いた首脳会議で、気候変動対策の強化について協議する予定だったが、英国の離脱問題に大半の時間をとられて具体策を検討することができなかった。加盟国は12月の首脳会議で改めて主要議題として取り上げ、温室効果ガス削減目標の見直しを含めた長期戦略をまとめる方針で一致した。
EUは2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比で40%削減するとの目標を掲げているが、欧州議会や多くの加盟国はより野心的な削減目標の設定を求めている。首脳会議では12月2日からチリで開催される第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に向け、削減目標の引き上げなどについて話し合う予定だった。
フォンデアライエン次期欧州委員長は環境対策を最優先課題に掲げている。就任の承認を得るため7月に欧州議会で行った演説では、50年までに欧州の温室ガス排出量を実質ゼロの「カーボンニュートラル」にするとの目標を掲げたうえで、欧州投資銀行(EIB)を通じて今後10年間に1兆ユーロを温暖化対策に投じる意向を表明している。EUとしては30年までの削減目標を「少なくとも50%」まで引き上げ、COP25で主導権を握りたい考えだったが、協議が先送りされたことで戦略を練り直す必要に迫られそうだ。