ベルリン州が家賃に上限設定へ、2年間は値上げ禁止

社会民主党(SPD)、左翼党、緑の党の左派3党からなるベルリン州政府は22日の閣議で、家賃に上限を設定する時限法案を了承した。州内の家賃が急上昇し、市民の不安・不満が高まっていることを踏まえたもので、法案には家賃の許容上限額が具体的に定められている。家賃の上限が法律で制定されるのはドイツで初めてだ。州議会の可決を経て6月18日に遡って施行される。期間は5年間。

同州政府は家賃問題を深刻に受け止め、今回の法案を作成した。2020年と21年は家賃の値上げを禁止。22年以降も値上げを最大で年1.3%に制限する。値上げによって家賃が、同法案で定める上限を超えることは認められていない。

家賃の上限額は建築年と設備の充実度によって細かく設定されており、最低は新規契約で1平方メートル当たり3.92ユーロ、最高は同9.80ユーロとなっている。既存契約の家賃については新規契約の同上限額を最大20%上回ることが認められる。また、立地条件の良い賃貸住宅では1平方メートル当たり0.74ユーロを上乗せすることが認められる。違反者には最大50万ユーロの過料が科される。2014年以降の新築住宅には上限枠が適用されない。

同法案に対しては中道右派政党や経済界から批判が出ている。ホルスト・ゼーホーファー連邦内相(キリスト教社会同盟=CSU)は「このルールは新たな住宅を一軒も作り出さない。逆に住宅不足を一段と深刻化させる」と指摘。必要なのは住宅建設を促進する枠組み条件を創出することだと強調した。キリスト教民主同盟(CDU)は違憲訴訟を起こす意向だ。

ヴォノヴィアなどの大手住宅会社はベルリン州に持つ住宅への近代化投資を抑制する意向を表明した。近代化した場合は家賃を1平方メートル当たり最大1ユーロ上乗せすることが法案で認められているものの、投資資金の回収リスクが大きいとみている。

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