ルーマニアで10日実施された大統領選挙は、現職のヨハニス候補(60、無所属、国民自由党(PNL)推薦)が最多の票を得たものの過半数には届かず、結果は24日の決選投票に持ち越された。
ヨハニス候補の得票率は36.6%。直近の予想を下回った。2位は社会民主党(PSD)のダンチラ党首(55)で23.8%だった。投票率は47.7%で、2014年の前回投票時の52.3%を4.4ポイント下回った。
ダンチラ候補は昨年1月から今月初めまで首相を務め、司法改革を進めてきたが、欧州連合(EU)や野党はこれが司法の中立の侵害や、汚職容疑のある政治家を訴追から守ることにつながるとして、激しく批判してきた。今月4日に就任したルドヴィク・オルバン首相(56)のPNL少数内閣は、ヨハニス候補の再選を果たし、汚職対策の前進につなげたい意向だ。
ヨハニス候補は、PSDの進める司法改革の中止のほか、◇縁故主義対策◇インフラ改善◇EU助成金の消化率引き上げ◇医療・教育サービスの改善――などを公約に掲げて選挙に挑んだ。
ルーマニアの大統領は首相・大臣・裁判官人事の拒否権を有するほか、外交・安全保障政策に影響力を持つ。また、議会が可決した法案を拒否する権利もある。ただ、法案が改めて議会を通過した場合には、発効に向けて署名する義務が生じる。