電波の不感地域を解消へ、国が11億ユーロ投資

ドイツ政府は17日の閣議で、移動通信の電波が届かない不感地域を2024年までに解消する方針などを決定した。民間の電気通信事業者の取り組みだけでは不感地域をなくすことが難しいため、国が腰を上げることにした。

ドイツでは都市と地方の通信環境格差が大きい。通信サービス事業者は人口が多くインフラ投資を回収しやすい都市部では積極的に敷設を進めるものの、不採算の地方部では投資を見合わせているためだ。

政府はこの現状を改めるために、今年実施した次世代通信規格5Gの周波数帯割り当て入札で、国内各州の世帯の98%、および主要国道と鉄道を対象に通信速度100メガビット毎秒(Mbps)以上のサービス(4G)を22年末までに実現することを落札企業に義務づけた。これを受け、落札4社のうちドイツテレコム、テレフォニカ、ボーダフォンの3社は11日、基地局を最大6,000カ所、共同設置する方針を打ち出した。同じく落札したユナイテッド・インターネット子会社の1&1/ドリリッシュにも参加を呼びかけている。

政府は同比率を100%へと引き上げるために今回の方針を打ち出した。5G入札で獲得した65億ユーロのうち11億ユーロを投じて基地局を最大5,000カ所、建設する。これにより移動通信のカバー率を世帯ベースで99.95%、面積ベースで97.5%に引き上げる意向だ。基地局建設でカバーできない世帯については、衛星通信など他の手段を通して通信エリアに組み込んでいく。

政府は今回、局地的なエリアで用いる「ローカル5G」用周波数帯を農林業従事者に低価格で付与する方針も決議した。モノのインターネット(IoT)の普及に伴い今後は農機なども自動通信機能を備えるようになることを見据えた措置だ。ローカル5Gネットワークを構築する農家には助成を行う。

上部へスクロール