電気通信大手のドイツテレコムが交換機間を結ぶ大容量の基幹回線網から中国メーカー華為技術の製品を全面的に排除するもようだ。社内情報として独『マネージャー・マガチン』誌が20日、報じたもので、基幹回線網で用いる同社製品の割合を今後2年以内に「0パーセント」に引き下げるという。テレコムは同誌の問い合わせに「わが社は3~5年おきに機器を交換している」と回答。米国メーカーの製品も交換の対象になることを示し、華為製品を意図的に排除する考えはないことを示唆した。
テレコムはまた、ソリューションを一括請負契約で調達するこれまでの方式についても、製品を米国のサプライヤーから個別調達する方式へと改めるもようだ。背景には華為に対する米国の制裁がある。
米政府は5月、華為への製品供給を事実上、禁止する措置を発動した。許可を取れば供給できるものの、申請が承認される可能性は低い。同規制の対象となるのは米国製の製品とソフトウエア。同国以外で生産していても米国の技術が使われていたり、米国製部品・ソフトの割合が価値ベースで25%を超える製品は規制対象となる。
華為は自社のソリューションに米国製品を使用してきた。このため同社からソリューションを一括調達する方式を続けると、テレコムは通信業務に必要なシステムなどを確保できなくなる恐れがあり、そのリスクを避けるために個別調達へと転換するという。
米国政府は次世代の5G通信網から華為製品を全面的に締め出すことを友好国に要求している。華為は中国政府と関係が深く、同社製品を用いると企業や政府の機密情報がもれる恐れがあるとみているためだ。ドイツ政府はこの見方を共有しているものの、華為をあからさまに排除すると主要な取引相手国である中国との関係が悪化することから、難しい選択を迫られている。