欧州委員会は11月26日、EUから反ダンピング措置を発動されている中国製の耐食鋼材が域内に不正な形で輸入され、反ダンピング関税を逃れている疑いがあるとして、調査を開始したことを明らかにした。不正の事実が確認されれば、制裁として関税を引き上げる。
耐食鋼材は建材、溶接管、電気器具など幅広い分野で利用される。欧州委員会は2016年、欧州鉄鋼協会(EUROFER)から中国メーカーが補助金を後ろ盾に不当な廉価で製品をEUに輸出し、域内メーカーを圧迫しているとの苦情を受け、反ダンピング調査を開始。18年2月に最長5年の正式な反ダンピング措置を発動した。
欧州委が官報で明らかにしたところによると、中国の耐食鋼メーカーが反ダンピング措置を回避するため、耐食鋼の塗装を変えたり、炭素の含有度を増やすといった微調整を施し、別の品目としてEUに輸出している疑いが浮上している。不正の「十分な証拠」があるという。
欧州委は最長9カ月をかけて調査を進める。不正輸出と認定した場合は、反ダンピング関税の税率を現行の17.2~27.9%から上乗せする。同措置は不正認定の前まで遡って適用するため、欧州委はEU内の税関に対して調査期間中に当該製品の輸入を記録するよう指示した。