東シベリアの天然ガスを中国へ運ぶパイプライン「シベリアの力」が2日に稼働した。ロシア産のガスを直接中国へ輸送できるようになり、ロシアの対中国輸出が拡大する見込みだ。運営する国営ガスプロムは徐々に新パイプラインの輸送量を増やし、2025年に年間380億立方メートルを輸送できるフル稼働体制に移行する計画だ。
「シベリアの力」はバイカル湖に近いコヴィクタ・ガス田と、中国と国境を接するブラゴヴェシチェンスクを結ぶ。全長は約3,000キロで、「沼沢地、山地、永久凍土、岩盤から成り、かつ地震活動も活発な地域に敷設」(ガスプロム)された。最低気温はルートにあたるサハ共和国で摂氏マイナス62度、アムール州でマイナス41度に達するという。
ガスプロムと中国石油天然気集団(CNPC)は2014年に期間30年、総額4,000億ドルの天然ガス取引契約を結んだ。両国貿易高は2018年に870億ドルに上ったが、プーチン大統領によると、今年は1,000億ドルへ拡大する見通しという。
ロシアは「シベリアの力」に続き、来年1月初めにトルコ・ストリームを、同年年央にノルド・ストリーム2の開通を予定する。いずれも同国にとって戦略的に重要な輸送路だ。