コソボとアルバニア、電力市場統合で合意

コソボとアルバニアの送電会社は2日、両国電力市場の統合で合意した。欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)と新たな契約を結び、来年4月にも運用を開始する予定だ。これによってコソボの電力系統はセルビア送電会社EMSの管理から離脱することになるため、コソボ独立を承認していないセルビア政府は強く反発している。

コソボの送電会社KOSTTのシャラ社長は、今回の合意がEMSからの分離独立を意味するとして、「コソボとKOSTTにとって歴史的な」意義を持つとコメントした。合意については事前にENTSO-Eも承知していたという。

コソボとアルバニアは電力市場の統合により、両国間で電力を融通できるようになり、電力供給状況が改善すると見込む。同時に、電力インフラの価値も高まるとみる。

両国市場の統合に向けては、準備として2016年6月に両国電力系統を結ぶ400キロボルトの相互接続線が稼働している。投資額7,550万ユーロはドイツ復興金融公庫(KfW)などの融資でまかなわれた。

アルバニアは電源のほぼ100%を水力が占める。一方のコソボは98%以上が石炭だ。両国とも一定の進歩はあるものの、発電量不足や送電インフラの老朽化、盗電などで電力不足に悩まされている。

コソボは2008年、一方的にセルビアからの独立を宣言。これまでに国連加盟193カ国の過半数から承認を得ている。しかし、セルビアは独立を認めない立場を堅持しており、両国間関係は緊張が続いている。

コソボの送電インフラについてセルビアは「セルビアが建設したもの」として自らの所有権を主張している。両国は2015年に送電インフラ運営について合意を結んだものの、この所有権問題が障害となり実施に至っていない。

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