独複合企業ティッセンクルップ(エッセン)は3日、鉄鋼部門の再建策の概要を発表した。同社は経営の重荷となっていた鉄鋼部門を印タタ製鉄の欧州事業と合併化することで財務から切り離す方針だったが、欧州連合(EU)の欧州委員会の反対でとん挫したことから、自力再建に切り替える。
再建に向けてコスト削減と投資額の拡大、製品・販売攻勢を行う。自社の材料販売部門との連携強化や、金属加工会社との協業を視野に入れている。
鉄鋼部門は市場環境悪化のほか、老朽化した施設や過剰生産能力、品質低下などの問題を抱え、利益が低迷している。同社はこうした問題を解決するために工場を統廃合する意向で、独西部のデュースブルクにある圧板工場と、同ボーフムにある電磁鋼工場については閉鎖ないし売却、リストラを検討する。また、管理部門もスリム化する意向で、従業員を最大2,000人、削減する意向だ。
鉄鋼部門の投資予算はこれまで年5億7,000万ユーロだった。競争力を維持するためにはこれを引き上げる必要があるというのが経営陣の見方。さらなる投資資金はエレベーター部門の売却ないし新規株式公開(IPO)でねん出する。
これらの措置を通して同部門の営業利益(EBIT)で6億ユーロを確保できるようにする。
経営陣は今後、従業員代表および金属労組IGメタルと協議し、再建策を取り決める予定だ。来年第1四半期(1~3月)の合意を見込んでいる。