製薬大手の仏サノフィ(パリ)は9日、糖尿病治療薬の研究開発(R&D)活動を全面停止する方針を明らかにした。経営資源を皮膚病、がん、多発性硬化症、希少病に絞り込むため。糖尿病薬は独フランクフルトに中核拠点がありため、同地では人員整理懸念などが浮上している。
サノフィでは糖尿病薬の主力製品「ランタス」の売り上げが急速に落ち込んでいる。米国など主要市場で特許が切れたためで、年商はピーク時(2015年)の60億ユーロ強から今年は約30億ユーロに縮小する見通しだ。同社は業績拡大に向けて、R&Dの軸足を収益力の高いがん治療薬、免疫治療分野に移している。
サノフィはフランクフルトのヘキスト工業団地を糖尿病薬事業の統括拠点としている。雇用規模は3,000人。糖尿病薬の生産は需要がある限り続けるとしているものの、化学労組IG
BCEのヘッセン州支部長は、研究が停止すれば遅かれ遅かれ生産にもしわ寄せが出ると警戒感を示した。