スイス特殊化学大手のクラリアント(ムッテンツ)は12月19日、マスターバッチ事業を米同業ポリワンに売却することで合意したと発表した。成長率と利益率が高い分野に経営資源を絞り込む戦略の一環。同事業を15億6,000万ドルと評価して取引を行う。2020年第3四半期(7~9月)の売却手続き完了を見込む。
マスターバッチは顔料を練り込んだペレット状の着色剤。クラリアントの当該事業は世界29カ国に計46拠点を展開しており、従業員数は約3,600人に上る。18年の売上高は約11億8,100万スイスフランだった。
同社は2015年、ケアケミカル(機能化学品、産業向けバイオテクノロジーなど)、触媒、天然資源(オイル&マイニングサービス、ファンクショナルミネラルズ)の3分野に中核事業を絞り込む方針を打ち出した。これを受けて事業の整理を実施。19年10月にはヘルスケア用包装事業を放出した。20年末までにさらに顔料事業を売却する意向だ。
今回の売却益のうち約10億フランは特別配当として株主に還元する。残りは中核事業の強化に充てる。