コメルツ銀行―ネット銀子会社株買い増し、スクイーズアウトへ―

独金融大手コメルツ銀行(フランクフルト)は3日、ネット銀行子会社コムディレクトの株式を英ヘッジファンド、ペトルス・アドバイザーズから取得することで合意したと発表した。取引が成立するとコメ銀の出資比率は90%を突破することから、コムディレクト株を他の株主から強制的に買い上げるスクイーズアウトを実施し、自行に統合する予定だ。

コメ銀は2019年9月、新戦略「コメルツバンク5.0」を発表した。時代の変化に合わせてモバイル事業を強化するとともに国内の支店を統廃合することが柱で、モバイル事業の強化に向けてはコムディレクトをコメ銀本体に統合する方針を打ち出した。

コムディレクトの統合に向けてはまず、1株当たり11.44ユーロでの株式公開買い付け(TOB)を実施した。これに対しペトルスは買い付け価格を低すぎると批判。12月初旬にはコムディレクト株を7.5%へと買い増しコメ銀に圧力をかけていた。

コメ銀はそれでも買い付け価格を引き上げなかった。このためTOBはペトルスの同意を得られずに失敗したものの、両社はその後、交渉を実施。今回の合意に達した。取引価格は公表しないことで合意した。コムディレクトの株価13.20ユーロ(3日付)をもとに計算すると、ペトルスが保有する株式の総額は約1億4,000万ユーロに上る。

コメ銀は5月に開催されるコムディレクトの株主総会でスクイーズアウトを提案し、決議させる予定だ。

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