自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)が中国の電池大手、国軒高科に資本参加するもようだ。ロイター通信が消息筋の情報として報じたもので、今後、数週間以内に株式20%を取得する方向という。VWは報道内容へのコメントを控えているものの、国軒高科は20日、交渉の事実を認めた。現時点で法的拘束力のある合意は結んでいないという。
国軒高科は寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)に並ぶ中国の電池メーカーで、安徽省合肥市に本社を置く。VWは安徽江淮汽車集団(JAC)と共同で同市に電気自動車(EV)の合弁工場を建設する計画であることから、国軒高科への出資はこれに絡んでいる可能性がある。
VWは国軒高科の株式20%を取得すると、国軒高科の創業者に次ぐ第2位株主となる。同社の時価総額をもとに計算すると、VWの投資額は約5億6,000万ドルとなる。ただVWは同株を、私募を通して低価格で取得するため、実際の投資額はこれを下回るという。
VWは電動車の生産台数を今後、急速に増やしていき、2025年までに年300万台へと引き上げることを目指している。これを実現するためには欧州で150ギガワット時(GWh)以上、アジアでも同程度の電池セルを確保する必要があり、VWはすでにLG化学、SKI、CATL、サムスンの中韓4社を欧州におけるセルの戦略サプライヤーに選定した。これに加えて、スウェーデンの電池スタートアップ企業ノースボルトとともに独ザルツギターで電池を合弁生産することになっている。上海のコンサルティング会社オートフォーサイトの関係者は、国軒高科に出資し調達先を増やすことで、VWは電池価格の交渉力を高めることができると語った。