ネスレ―再生可能包装材に多額投資―

スイスの食品世界最大手ネスレ(ヴヴェイ)は16日、再利用やリサイクル可能な食品包装材の開発を加速させるため、最大20億スイスフランを投じると発表した。同社は2025年までに、自社製品のパッケージを100%再利用またはリサイクル可能な素材に切り替える目標を掲げているが、今回新たに新品プラスチックの使用量を同年までに3分の1削減するとの目標を打ち出した。

プラスチックは金属などの他素材と比べて再生利用される割合が低く、世界全体で年間800万トンを超えるプラスチックごみが海洋に流入しているとされる。ネスレは消費財大手の英蘭ユニリーバなどとともに、プラスチック公害を引き起こしている主要企業の1社として環境保護団体などの批判にさらされており、プラスチック資源循環体制の構築に向けた取り組みを迫られている。

投資計画によると、ネスレは食品包装を再生プラスチックに切り替えるための費用に15億スイスフラン以上を充てる方針。また、2億5,000万スイスフランのベンチャーファンドを立ち上げ、持続可能な包装材や最先端のリサイクル技術の研究・開発に取り組むスタートアップ企業に投資する。

シュナイダー最高経営責任者(CEO)は「高い安全性が求められる食品包装に再生プラスチックを使用できるようにすることは、食品業界にとって大きな課題だ。当社は包装材の使用量が多いため汚染者リストの上位に挙げられているが、問題解決に向けて大きな一歩を踏み出す」と強調。ユニリーバが25年までに新品プラスチックの使用量を半減させる方針を打ち出したのに対し、ネスレはこれより低い数値目標を設定した点に質問が及ぶと、日用品の包装材には食品並みの安全性が求められないため、単純に比較することはできないと指摘した。

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