トレイトン―米戦略提携先ナビスターに買収提案―

独フォルクスワーゲン(VW)の商用車子会社トレイトン(ミュンヘン)は1月30日、戦略提携先の米ナビスター・インターナショナルの株式を買い増し完全子会社化することを提案したと発表した。買収が成功するとトレイトンは北米事業を大幅に強化。世界市場でも最大手ダイムラーの背中を捉える見通しだ。

トレイトンは2016年、ナビスターの普通株16.8%を取得し戦略提携。調達と技術面で協業してきた。

今回の提案では残りの普通株をすべて買い取る意向を表明した。1株当たり現金35ドルを提示している。これは前日終値を45%、過去90日間の加重平均株価を19%上回る水準で、買収計画の発表後、ナビスターの株価は急伸した。

自動車業界は環境規制の強化や車両の電動・自動・IoT化など大きな課題に直面していることから、トレイトンは買収により事業規模を拡大しこれらの課題に対処していく意向だ。

トレイトンは欧州と南米で高い市場シェアを持つものの、北米では競合のダイムラー、ボルボに大きく水をあけられている。ナビスターを傘下に収めれば北米事業を一気に強化し、事業のグローバル化を促進できるという事情も買収提案の背景にある。

買収の実現にはナビスターの取締役会と株主、およびトレイトンの監査役会、親会社VWの承認が必要となる。ナビスターは同日、買収提案が自社の戦略に合致するかどうか慎重に検討することを明らかにした。トレイトンは買収手続きが今年末に完了すると見込んでいる。VWは基本的に、買収を資金面で支援する意向だ。

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