欧州委員会は1月29日、次世代移動通信システム「5G」の安全性強化に向けた勧告を発表した。中国の華為技術(ファーウェイ)を念頭に、加盟国に対して「高リスク企業」がネットワークの中核部分に参入するのを制限または阻止できる仕組みを導入するよう促す一方、同社製品の完全な排除は求めなかった。米トランプ政権は安全保障上の懸念を理由に、5G通信網からファーウェイ製品を排除するよう同盟国に求めているが、28日には英政府が非中核部分で同社製品を容認する方針を打ち出しており、米国の反発が予想される。
欧州委の勧告は加盟国に対し、参入を希望する業者を「技術面と非技術面」の双方からリスク評価するよう要請。具体的には企業活動への第三国の関与や、国家が背後にいる企業かどうかが焦点となる。高いリスクがあると判断した場合、機密情報を管理するネットワークへのアクセスを制限し、特に重要な中核部分から排除するよう求めている。
ただ、勧告に拘束力はないため、最終的な判断は各国政府に委ねられる。加盟国は4月末までに対策をまとめ、6月末までに進捗を欧州委に報告する。
一方、英政府は28日に安全保障会議を開き、5G通信網へのファーウェイの参入を限定的に容認することを決めた。ネットワークの中核部分のほか、核関連施設や軍事施設など機密性の高い場所からは排除し、基地局など非中核部分への参入についても全体の35%を上限とする。
モーガン・デジタル担当相は「世界最高水準の通信網をできるだけ早く構築しなければならないが、安全保障を犠牲にすることはできない。今回の決定は英国固有の根拠に基づく独自の解決策だ」と説明。ファーウェイ製品を完全に排除した場合、5G通信網の整備に深刻な遅れが生じるとの懸念をにじませた。