独スタートアップ企業トリオプトテック(レーゲンスブルク)が感光色素を利用した殺菌剤を開発・販売している。多剤耐性菌による院内感染を防止するために起業した同社だが、幅広い産業分野に販路を広げられるとみている。
同社はレーゲンスブルク大学病院のヴォルフガング・ボイムラー助教授が2010年に同僚と設立した企業。当初は将来の可能性を考えて起業したに過ぎなかったが、研究成果をビジネス化できる見通しが高まったことから17年に投資家から初めて資金を調達し、18年に第一弾として「ディフォックス(Dyphox)」という名の製品を市場投入した。
同製品は感光色素を含む溶液で、光に当たると空気中の酸素分子を活性化し細菌の細胞膜を破壊して死滅させる。レーゲンスブルク大学病院などで行った実地試験では強い減菌効果が確認された。
同社はこの技術を洗剤や樹脂、繊維など幅広い分野で投入できるとみている。食品メーカーも重要な潜在顧客だ。
従業員数は10人。現在は3度目の資金調達を進めており、200万~250万ユーロを確保する。順調にいけば今後5年で売上高を1,000万ユーロに引き上げられると予想している。