クレジットカード大手のマスターカードは3月25日、カードをかざすだけで支払いを済ませることができる非接触決済の上限枠を欧州29カ国で引き上げると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にニーズが高まっていることに対応する。ドイツでは25ユーロから2倍の50ユーロへと拡大する。
新型コロナの流行を受けて、現金の利用を控える消費者が増えている。小売店も可能な限りカード払いを要請しており、現金での支払いは激減した。
非接触決済はカードを読み取り機に差し込まないうえ、暗証番号の入力も不要であることから、感染リスクがない。ただ、通信に電波を使うことからスキミングでデータを盗まれる恐れがある。このため一度に支払うことができる額が比較的低く抑えられている。
新型コロナが流行する現在、消費者の多くは感染リスクを抑制するためにスーパーマーケットなどでまとめ買いを行っている。上限額が小さい現状では非接触決済を利用できず、読み取り機に暗証番号を入力する方式を選ばざるを得ないことから、マスターカードは上限額を拡大する。
欧州では現在、マスターカードを利用した決済の75%を非接触決済が占める。