ブルガリアのユーロ導入に遅れ、新型コロナの影響で

新型コロナウイルスの感染が欧州で拡大していることを受けて、ブルガリアのユーロ導入に向けたスケジュールに狂いが生じている。同国中央銀行のディミタール・ラデフ総裁は3月30日、民放大手ノバTVに対し、導入の前段階として今年7月に予定していた欧州為替相場メカニズム(ERM2)と銀行同盟への参加について「早くても2021年にずれ込むだろう」と発言。欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)がコロナ対策で手一杯の現状では、手続きを進めることは現実的ではないとの認識を示した。

ブルガリアのユーロ導入には、ERM2に最低2年間加わり、自国通貨の対ユーロ標準値の変動率を抑えることや、銀行同盟への参加などの条件がある。ラデフ総裁は、ERM2と銀行同盟への参加の遅れはユーロ導入の断念を意味しないと強調。現在の状況は「深刻かつ複雑」だが、21年への参加延期は「致命的とはならない」と述べ、これまで通り導入に向けた作業を進める意向を明らかにした。

ブルガリアは16年以来、ボイコ・ボリソフ首相の下でユーロ導入の準備を積極的に進めてきた。欧州最貧国のひとつに数えられる同国だが、19年の国家債務の対国内総生産(GDP)比率は19.16%と低く、財政は健全だ。

上部へスクロール