スペインが新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため実施している「ロックダウン(都市封鎖)」が、同国の雇用を直撃している。社会保障省は2日、同措置が3月中旬に発動されてから、新たに約90万人が失業したと発表。労働省によると3月の失業者は前月から9.3%増加し、約350万人に達した。失業者増加は単月では過去最大規模となる。
新型コロナ感染の死者がイタリアに次ぐ世界2番目となっているスペインでは、3月14日から全土で不要不急の外出を制限している。社会保障省によると、同措置が実施されてから89万8,822人が職を失った。観光、建設業の契約社員がとくに影響を受けた。このほか、少なくとも62万人が一時解雇となっているという。
スペインでは2008~09年の世界金融危機に際して、失業者が20週間で90万人近く増えたことがある。今回は3週間未満という記録的な早さで同水準に達した。エスクリバ社会保障相は「前例にない異常なデータだ」と述べ、ロックダウンが雇用に異例の大きな打撃を与えていることを強調した。
労働省が同日に発表した約350万人の失業者数は、登録を済ませた失業者だけで、ロックダウンのあおりで失職した人の一部は含まれていないもようだ。政府が3月30日から外出制限を強化し、これまで認められてきた仕事のための外出が一部の職種を除いて4月9日まで禁止されることで、さらに失業者が増えるとみられる。