欧州委員会が3月30日に発表したユーロ圏の同月の景況感指数(ESI、標準値100)は94.5となり、前月から8.9ポイント低下した。新型コロナウイルスの感染拡大で全業種、消費者の先行き不安が広がり、長期平均の100を割り込んだだけでなく、2013年9月以来の低水準に後退。1カ月の下げ幅としては、同指数が導入された1985年以降で最大となった。
ESIが前月を下回るのは5カ月ぶり。分野別ではサービス業が13.3ポイント低下と、大幅に落ち込んだ。その他の下げ幅は製造業が4.6ポイント、消費者が5ポイント、小売業が8.1ポイント、建設業が2.7ポイントとなっている。
EUのESIは前月を8.2ポイント下回る94.8。すべての国で低下した。主要国では新型コロナ感染拡大が最も深刻なイタリアで17.6ポイント低下と急落。ドイツが9.8ポイント、フランスが4.9ポイント、スペインが3.4ポイントの幅で低下した。
ESIはEU内の企業経営者と消費者を対象とした聞き取り調査に基づいてまとめられる。欧州委は今回の調査を2月26日から3月23日にかけて実施したが、データの大半は生活・社会に不可欠ではない商店や外食店などの閉鎖といった「ロックダウン」が導入される前に集められた。このため、実態を正確に反映したものではないとして、実際には景況感がさらに冷え込んでいるとの見方を示した。