スポーツ用品大手のアディダスは1日、ドイツ国内の直営店のテナント料支払いを見合わせるとした方針を撤回した。政治家や消費者から強い批判を受けたためで、「わが社は過ちを犯し、それにより多くの信頼を失いました」と謝罪。4月分のテナント料はすでに支払ったことを明らかにした。
企業や市民は収入が大幅に減っても通常、店舗・住居の賃貸料を払い続けなければならない。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で収入が激減する企業や市民が極めて多いことから、政府は賃貸料の不払いを理由とする解約の禁止を柱とする時限法案を作成し、議会で可決させた。借り手は4月1日~6月30日の3カ月間、家賃を支払えなくても、2022年6月末まで解約されない。
このルールは主に一般消費者や零細企業を想定して導入されたものだが、アディダスやメディア・ザトゥーン(家電販売)などの大手は便乗。資金繰りを確保するためにテナント料を差し当たり支払わない意向を打ち出していた。
これに対しては閣僚をはじめとする政治家が激しい言葉で批判。著名人や消費者もSNSでアディダス製品などのボイコットを呼びかけていた。