ポーランド大統領選挙、郵便投票で実施

ポーランド下院は6日、5月10日の大統領選挙を郵便投票のみで実施する政府法案を可決した。新型コロナウイルスの流行を受けたもので、与党・法と正義(PiS)は「民主主義的手続きを守るため」と説明している。ただ、保健衛生上の観点から連立与党の中にも投票実施に反対する声があり、2回目の議決でようやく法案が通過するなど、政権内の軋みが表面化した。

PiSは2015年に政権に就いて以来、経済の好調に加え、児童手当や年金引き上げなどの社会政策で国民の支持を固め、昨秋の議会選挙でも勝利した。ただ、今後は新型肺炎(Covit-19)の影響で経済が打撃を受け、支持率が低下する懸念がある。

このため、野党は郵便投票案が「ドゥダ大統領の支持率が高いうちに何としても選挙を実施しようというPiSの党利党略に基づく」とし、「国民の健康をないがしろにするもの」と批判してきた。

また、PiSと連立する保守政党「合意(Porozumienie)」のヤロスワフ・ゴヴィン党首は、ドゥダ大統領の再出馬を禁じる前提で任期を2年延長する案を提唱していた。これが連立与党内で通らなかったため、郵便投票案の議決を前に副首相と科学・高等教育大臣の職を辞した。「合意」はPiSとの連立を継続するが、政権内の対立の存在が鮮明になった形だ。

郵便投票案は最初の議決で賛成と反対が同数となり、可決に必要な過半数に届かなかった。PiS議員が「自動開票システムの不具合で票が正しくカウントされなかった」と異議を申し立て、議論のあげく、改めて決議にかけられた。

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