ECBが銀行の担保基準緩和、コロナ危機に総力戦で対応

欧州中央銀行(ECB)は7日に開いた緊急政策理事会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加の金融対策を決定した。ユーロ圏の銀行がECBから資金供給を受ける際の担保基準を緩和し、幅広い資産を担保として受け入れる。銀行が資金を調達しやすい環境を整えることで、新型コロナ危機で苦境に立つ企業への貸し渋りを防ぐ意図がある。ECBは3月に大規模な金融緩和を実施したばかりで、未曽有の危機に総力戦で挑む様相を呈してきた。

同措置では銀行が持つ資産のうち、信用力が低い零細事業者などに提供した融資の債権や、格付けが投資不適格級となっているギリシャ国債、政府保証融資なども担保として認定。無担保債権の受け入れも拡大する。

このほか、担保のヘアカット率(担保となる資産の評価額をリスクに応じて割り引く割合)を引き下げる。

ECBは新型コロナウイルスの感染拡大で揺れるユーロ圏経済を下支えするため、3月12日に量的金融緩和を拡大し、年末までに新たに総額1,200億ユーロの資産を買い取ることを決定。「TLTRO」と呼ばれる長期資金供給オペ(金融機関が融資を増やすことを条件に長期資金を供給するオペ)を拡大し、低利で銀行に長期資金を融通することも決めた。

さらに18日には、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と命名した新たな資産購入プログラムを実施し、国債などの資産を2020年末までに追加で7,500億ユーロ購入することを決めた。ギリシャ国債や金融分野以外の業種が発行するコマーシャルペーパー(CP)なども購入対象に含まれる。

銀行の融資能力増強に向けた今回の追加措置は、TLTROなどECBの資金供給プログラムを利用する際に適用される。担保基準をここまで緩和するのは異例。とくに、ギリシャ国債を多く保有する同国の銀行にとっては大きな追い風となる。

担保基準の緩和は新型コロナ危機が収束するまでの臨時措置。PEPPに合わせ、年末まで実施する方針だ。必要に応じて延長も検討する。

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