Ifo経済研究所が25日発表した5月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は79.5となり、過去最低を記録した前月から5.3ポイント上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施されている制限措置の緩和がプラスに働いた格好。状況は依然として厳しいものの、先行きにわずかながら光が差してきた。
今後6カ月の見通しを示す期待指数が前月の69.4から80.1へと10.7ポイント上昇した。現状判断を示す指数は0.5ポイント減の78.9となり、4カ月連続で落ち込んだ。
各部門の景況感指数(現状判断指数と期待指数=ともにDI=の中央値)をみると、製造業はマイナス26.2となり、前月のマイナス37.7から11.5ポイント改善した。期待指数が大幅に好転したことが大きい。現状判断はこれまでに引き続き悪化した。
サービス業の景況感指数は過去最低となった前月のマイナス44.5からマイナス36.4へと8.1ポイント上昇した。期待指数が大きく改善。現状判断も前月をやや上回った。
流通業の景況感指数は前月のマイナス34.2からマイナス21.0へと13.2ポイント上昇した。現状判断と期待指数がともに大幅に好転している。現状判断の好転幅が大きいのは営業制限が解除されたため。
建設業の景況感指数も前月のマイナス17.7からマイナス12.0へと5.7ポイント上昇し、8カ月ぶりに改善した。期待指数の上昇幅が過去最大になったことが大きい。現状判断指数はやや悪化した。
製造業の輸出見通し好転
Ifoが26日に発表した独製造業の5月の輸出期待指数(DI)はマイナス26.9ポイントとなり、過去最低となった前月(-50.2ポイント)から大幅に改善した。上昇幅は23.3ポイントで過去最大。クレメンス・フュスト所長は「企業は楽観からはなおも程遠い状況にある」としながらも、「ドイツの輸出産業はそれでも地平線上に薄明かりを見ている」と述べた。
Ifoは月例の企業景況感指数調査の一環でメーカー約2,300社を対象に今後3カ月の輸出見通しを質問。メーカーは「増加する」「横ばい」「減少する」のなかから1つを選んで回答する。「増加」回答の割合から「減少」回答の割合を引いた数が輸出期待指数となる。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて同指数は3月と4月に大幅に悪化した。5月は足元の欧州で感染拡大に歯止めがかかってきたことから、すべての主要輸出産業で数値が好転。特に自動車と電機は改善幅が大きかった。機械と金属製造・加工は数値が上昇したものの、悲観的な企業が依然として大半を占めるという。