ロシアで先月25日から行われていた憲法改正の是非を問う国民投票が1日、締め切
られた。有権者の過半数が賛成票を投じており、同国のプーチン大統領が次期大統
領選挙に出馬するうえでの障害は取り除かれることになる。最長で36年までの任期
延長が可能だ。改正案はすでに上下両院で可決されており、最終的な投票結果の公
表を経て成立する。
中央選挙管理委員会によると、開票率99.02%の段階で賛成は78.03%、反対は
21.16%。投票率は65%だった。国民投票は当初、4月22日を予定していたが、新型
コロナウイルスの感染拡大を受けて延期された。
1993年に制定された現行憲法は大統領任期を連続2期までに制限している。改正案
でもこの規定が残っているが、過去の任期を計算に入れないとする規定があるた
め、プーチン大統領の再出馬が可能となる。改憲が実現すれば、現任期が満了する
24年から、改めて2期12年を務めることができる。
プーチン大統領は任期終了後の立候補を表明していない。ただ、自身の後継者選び
が国内政治に混乱をもたらすことを懸念しており、再出馬への道が開かれることが
重要だとの認識を示していた。現在67歳の同大統領は、36年には83歳となる。
今回の改正案には◇最低生活水準を上回る最低賃金保障◇インフレ率に合わせた年
金額の調整◇領土割譲の禁止——などのほか、「神への信仰」の文言や同性婚の禁
止条項など、プーチン大統領の保守的な価値観を反映した規定も盛り込まれてい
る。投票の最終日には大統領の音頭で、子育て世帯に各1万ルーブル(約125ユー
ロ)の支援金が支給された。
■目立った抗議活動はなし
今回の国民投票では、モスクワとサンクトペテルブルクで憲法改正に反対する市民
の集会が広かれたものの、全体として目立った抗議行動は起きなかった。選挙での
違反行為はロシア内務省によると800件、独立系の選挙監視団体ゴロス(Golos)に
よると約2,100件。ゴロスは、国営企業や学校で上司が従業員や教職員に投票参加
を半ば強要することで「組織票」を集めていたことや、投票の際に必要なIDカード
を提示せず複数回、投票した人が多数いることを指摘した。
広大な同国では時間帯が11に分かれており、最も西部にあるカリーニングラードの
投票所が締め切られる数時間前に暫定的な投票結果が報じられる一幕もあった。