化学大手の独BASFは2日、農業技術子会社BASFデジタルファーミングがJA全農と協業合意したと発表した。人工知能(AI)ベースの栽培管理最適化プラットホーム「ザルビオ・フィールド・マネージャー」の日本市場投入を目指す。
ザルビオ・フィールド・マネージャーは圃場ごとのリアルタイム情報と、それらの情報をもとにAIが分析したリコメンデーション(推奨作業)を提供することで、農業を支援する。生産者は気象データや衛星データから得られる作物の生育段階や病害、雑草のリスクに関するシミュレーションと栽培管理に関するリコメンデーションにより、効率的に最適な栽培管理の意思決定を行うことができる。BASFは同プラットホームをパソコン、タブレット、スマートフォンで利用できるようにする予定だ。
日本では一筆一筆の圃場が小規模な状態で分散している。生産者が大規模経営を目指す場合、分散した圃場を同時に管理することは容易ではなく、農業生産の効率化を阻む要因の1つとなっている。BASFデジタルファーミングのマネージングディレクター兼グローバルコマーシャリゼーション責任者のアンドレジョージ・ギルグ氏は「ザルビオ・フィールド・マネージャーを活用することで、生産者は分散した圃場ごとに、いつ、どのような作業が必要になるのかを適切に判断でき、より効率的な栽培管理を実施できるようになります」と同プラットホームの意義を強調した。
ザルビオ・フィールド・マネージャーがグローバルに展開するソリューションは、さまざまな作物を対象としている。日本ではまず、水稲と大豆に関するソリューションを来年4月から提供する予定で、現在は全国各地で実証実験を実施中だ。
同プラットホームと、JA全農が開発・運用している営農管理システム「Z-GIS」を連携させることで、利用者のデータ管理機能を強化することや、ドローン、GPSナビゲーション付きのトラクターや収量コンバインなどと連携させることも予定している。また、すでに一般公開している病害虫雑草の画像診断システム「ザルビオ スカウティング」と連携させて機能強化を図り、スマート農業の総合的なプラットホームを提供する考えだ。